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きぶつどうじけん
鬼仏洞事件
海野 十三
線上閱讀海野 十三《鬼仏洞事件(きぶつどうじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,468 字 · 30 頁
三千子が向うへ行ってしまうと、豆の山のかげから、一人の青年が、ひょっくり顔を出して、三千子の去った方角を見て、にやにやと笑った。
長身の案内者
見るからに、妖魔の棲んでいそうな古い煉瓦建の鬼仏洞の入口についたのが、四時十五分過ぎであった。彼女は、こんなこともあろうかと、かねてホテルのボーイに手を廻して買っておいた紹介者つきの入場券を、改札口と書いてある蜜蜂の巣箱の出入口のような穴へ差し入れた。
すると、入場券は、ひとりでに、奥へ吸い込まれたが、とたんに何者かが奥から、
「これを胸へ下げてください」
と云ったかと思うと、丸型の赤い番号札が例の穴から、ひょこんと出て来た。
(呀っ!)
そのとき、三千子の眼は、素早く或るものに注がれた。それは、奥から番号札を押し出した変に黄色い手であった。それはまるで、蝋細工の手か、そうでなければ、死人の手のようであった。
三千子は、とたんに商売気を出して、その手をたしかめるために、腰をかがめて、穴の中を覗きこんだ。
「呀っ!」
ぴーんと音がして、番号札が、発止と三千子の顔に当るのと、がたんと穴の内側から戸が下りるのと同時であった。