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まぞう
魔像
林 不忘
線上閱讀林 不忘《魔像(まぞう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 131,494 字 · 260 頁
びっくりしたのは、長庵である。思わず、どこか近所へ逃げこむつもりで、息せききって駈けつけて来たのが、中坂下を通り、堀留の横町から真っ直ぐもちの木坂へ登ろうとする角の屋敷――西丸御書院番、大迫玄蕃の住居。
と、そこにも一つ、より大きな驚愕が長庵を待っていようとは!
大迫玄蕃の玄関の戸に、大きな貼紙がしてあるのだ――「お命頂戴!」下に小さく「只今参上」
血滴抹殺線
一
およそ寝覚めが悪いと言えば、大迫玄蕃がそれだった。
大迫玄蕃、千代田城御書院番士のひとりで、四十余りのでっぷりした男だ。御書院番と言えば、現代で言う秘書課のようなところだから、わりに若手が多かったもので、ここで柳営の事務を見習い、才幹があると認められれば、それぞれ上の役柄へ振り当てられて、出世をするやつは出世をする。出世をしないやつは出世をしない。そこは今も昔も同じことだが、失業だの生活難だのという複雑深刻なる社会経済のなかった時代だから、何といっても呑気なもので、御書院番の椅子――じゃアない、座蒲団だ――その御書院番士の座蒲団が一枚空いているからと言って、官報第何号か何かでその欠員を募集するてエと、願書が何千通山積して、その中で高文をパスしたやつが何百人、帝大出が何百人、選びようがないからおめでたい名前を探して鶴亀千萬男てえ