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まぞう
魔像
林 不忘
線上閱讀林 不忘《魔像(まぞう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 131,494 字 · 260 頁
ひょっとして、脇坂様御家中の方のお耳にでも入ったら、どうするのだ。喩えにもいう。口はわざわいの因。ちと気をつけな」
「ヘイヘイ、物いえば口びる寒し冬の風」
「ちッ、言うことが一々間違ってる。それも言おうなら、物いえば口びる寒し秋の風、とナ」
「秋よりも冬のほうが寒いや」
「戯けなさんな。とにかく、ここで咽喉を潤して行こう」
「うフッ、明日は雨だい。しわんぼうの筆幸が茶店をおごるなんて――後が怖いぞ」
「何をブツブツ言ってるんだ」
「イエナニ、こっちのことで……若旦那、この腰掛けへ陣取りましょう。ここなら、表を通る別嬪が一目瞭然――」
「厭なやつだな、子供のくせに」
「子供だ子供だと思っているうちに――」
「定公、うすッ気味の悪い声はしまっときナ」
「若旦那、お出初なを二つ頂きましょうね。それからお口よごしには何を……」
「殴るよ。じっさいお前は老成ているね。口を利いているのを聞くと一人前だ」
「それでいて仕事は半人前、食うほうは三人前――われながら不思議の至り……」
市ヶ谷やきもち坂の甲良屋敷へ差しかかろうとする馬場下の清玄寺前、角に腰掛茶屋が出ている。
無駄口を叩きながら、そこへはいって来たのが、下谷長者町の筆屋幸兵衛、筆幸という、その息子で幸吉。