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まぞう

魔像

林 不忘

線上閱讀林 不忘《魔像(まぞう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 131,494 字 · 260 頁

青空文庫

お妙が、喬之助の前に、庇おうとするように立っていた。壁辰は、部屋の真ん中にドッカリすわりこんで、がッしと腕を組んだ。四、五人の捕手が、十手をひらめかして喬之助へ打ち掛ろうとした。

すると、金山寺屋の音松が、喬之助を見て、頓狂な声を揚げたのだ。

「お! こりゃア喧嘩渡世の旦那じゃアござんせんか――何ぼ酔狂でも、そんな妙ちきりんな服装をしていなさるから。いやどうも、茨右近さまにかかっちゃアかないませんや」と、急にヘラヘラ笑い出して、すぐ呆気に取られている満谷剣之助へ向って、「旦那、これあ眼違えだ。このお方は、あのそれ、神田で名打ての喧嘩渡世の旦那、茨右近さまでございますよ、ねえ黒門町」

喧嘩渡世――とはそも何か?

その頃、神田の帯屋小路に、「喧嘩渡世」という不思議な看板を上げた、粋な構えの家があった。喧嘩渡世と筆太に書いた看板の横には、小さく一行に「よろづ喧嘩買い入れ申し候」

まことに尋常でない稼業。

あるじは、芸州浪人の茨右近。

内儀は、白無垢鉄火の「知らずのお絃」。

じつにどうも変った組み合わせが変った渡世をしているもので――。

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