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まおうものがたり
魔王物語
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《魔王物語(まおうものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,506 字 · 23 頁
暗夜深山へ入って猛獣を狩るのを商売にしている猟師のことであるから、べつに夜路などは気にも止めなかったが、それでも藪の間の小路では暗くて不便であった。困り困り歩いているとむこうの方から提灯の灯が見えた。何人か知った人であったら燧の火を借りて、松明でもこしらえて往こうと思いながら、近づいて見ると、それは日比親しい曽根源之丞と云う武士であった。
「や、曾根の旦那でございますか」
作平といっしょにむこうからも声をかけた。
「作平か、今から何処へ往く」
「私はこれから、西行寺へ用事があって往くところでございます」
「そうか、火無しでは困るだろう、……じゃ、これを持って往け、乃公の方はもう眼をつぶっても帰れる処じゃ」
作平は一度は辞退したが、源之丞がたって云ってくれるので、終に其の提灯を借りて歩いた。藪路を出はずれると寂しい松原が来た。そして、松原の中程まで往ったところで、何かものの気配がしたので脚下を見ながら歩いていた作平は、ふと眼をあげて前を見た。眼の前に身のたけが一丈余もあろうと思われる大きな坊主が、眼をぎらぎらさして衝立っていた。作平はわっと叫んで逃げようとしたが、体内がすくんで動けなかった。