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うおがし

魚河岸

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《魚河岸(うおがし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 2,120 字 · 5 頁

青空文庫

のみならず彼も中てられたのか、電燈の光に背きながら、わざと鳥打帽を目深にしていた。

保吉はやむを得ず風中や如丹と、食物の事などを話し合った。しかし話ははずまなかった。この肥った客の出現以来、我々三人の心もちに、妙な狂いの出来た事は、どうにも仕方のない事実だった。

客は註文のフライが来ると、正宗の罎を取り上げた。そうして猪口へつごうとした。その時誰か横合いから、「幸さん」とはっきり呼んだものがあった。客は明らかにびっくりした。しかもその驚いた顔は、声の主を見たと思うと、たちまち当惑の色に変り出した。「やあ、こりゃ檀那でしたか。」――客は中折帽を脱ぎながら、何度も声の主に御時儀をした。声の主は俳人の露柴、河岸の丸清の檀那だった。

「しばらくだね。」――露柴は涼しい顔をしながら、猪口を口へ持って行った。その猪口が空になると、客は隙かさず露柴の猪口へ客自身の罎の酒をついだ。それから側目には可笑しいほど、露柴の機嫌を窺い出した。………

鏡花の小説は死んではいない。少くとも東京の魚河岸には、未にあの通りの事件も起るのである。

しかし洋食屋の外へ出た時、保吉の心は沈んでいた。