輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
なるとひちょう
鳴門秘帖
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 56,957 字 · 114 頁
あたかも盲が勘をめぐらすように――。
こういう危地に陥ちた場合、かれは必ず数度の息を静かに吸ってかかる。
いかなる兇暴な殺刃でも、冷々として騒がずに、その呼吸の支度をしている間には、容易に、斬ってかかり得ないものだ。
かれに、狐疑と逡巡をいだかせ、その間に、われは心耳心眼を研いで、悔いなき剣の行きどころを決する。
いわゆる、胆まず敵をのむのである。
見えざる敵を見、聞こえざる音を聞き、光なき闇をも瞬間に察しなければならぬ。その思慮なく、おのれの勇を過信して、一人の剣を交わし左右の敵を電瞬に切って捨てたくらいでは、その寸隙に八面の殺刀が、たちどころに一人の相手を蜂の巣と刺激するに足るであろう。
弦之丞が師事し、味得しているところの、戸ヶ崎夕雲の夕雲流なる剣法が、神陰とひとしく、そもそも白虎和尚の禅機から発足していて、剣気と禅妙の味通、生死同風の悟徹の底から生まれているだけに、あざやかなる剣を舞わす派手技よりは、まずもって剣前に、半眼の心をいたすこと夕雲工夫の奥伝とする。
で――今。
もちの木坂に足場をかためて、待ちもうけていた敵の重囲の中核に陥ちつつ、法月弦之丞がことさらに悠々と腰をかけたのもその心。