輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

なるとひちょう

鳴門秘帖

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 56,957 字 · 114 頁

青空文庫

竹屋三位有村。

という切銘が読まれた。

「ああ竹屋……竹屋三位? ……」

かれにも記憶のある名とみえてややしばらく、それをみつめていると、どこかで明らかな人声がきこえだした。

「啓之助、啓之助」

「はッ」

「どうした? 意気地のない奴じゃ」

「イヤ、意気地のないわけではございませんが、さすがに、倶利伽羅坂十八町を、ひと息に上ってまいったので、やや疲労をおぼえました」

「まだ、この上には一ノ森、二ノ森の嶮路がある。そんなことでは心細いぞ」

「いや、とんでもないことを」

「なにがとんでもないことじゃ」

「春とは申せ、まだ渓谷には雪があり、藤の森あたりはすこぶる危険でございます」

「ばかを申せ。きょうは是が非でも二ノ森を踏破して、お花畑の天ッ辺から三十五社、蟻の細道、または人跡未踏という、剣の刃渡り、百足虫腹までも、越えてみなければ気がすまぬ」

「なんと仰せあろうとも、まだ五月にならぬうちは、これより上のお供はできませぬ」

「ではこのほう一人で登りつめる」

「また有村様の横紙破りな。万一お怪我のある時には、この啓之助の落度として、殿より御叱責をうけねばなりませぬ。どうぞ、今日はこの辺で、ひとつ日置流のお手際を拝見いたしたいもので」