輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
なるとひちょう
鳴門秘帖
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 56,957 字 · 114 頁
「そうか、では目付屋敷の、執務所の縁がわへ行って控えているがいい。何の用事かしらぬが、後からまいってきいてやる」
「ありがとう存じます。やれやれ、これでわっしもホッと致しやした。何だッて、この山奥まで尋ねてきて、面会は相ならんなどと、木戸を突かれた日にゃ御難ですからネ」
脱いだ合羽を片腕に垂らして、お米のほうへ目をくれながら、自然石の石段を上って、向うの役宅の庭へ廻って行った。
と、啓之助は、それを待ちかねて、すぐに門の外へ出た。そして、サッサと向うの樹蔭へ行ってから、お米を目でさし招いた。
「どうしたというのだ、お前は? 勝手に出歩いてはならぬというのに、このような役向きの所へ何しにきた。また、連れてくる宅助も宅助じゃ」
こう咎めたが、啓之助の挙動は、むしろ、お米が不意に来たよろこびに、落ちつかないほどなのである。
誰にも内緒にしている匿し女が、役向きの出先へ不意にやって来たので、啓之助は、こそぐッたいよろこびと舌打ちしたいような困惑を感じた。
目付屋敷には、まだ竹屋三位がいるので、そこへ曰くのあるお米を連れこむことはできないし、逢曳のように外でひそひそと話しているのは、なおさら外聞にかかわる。