輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

線上閱讀小金井 喜美子《鴎外の思い出(おうがいのおもいで)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 127,675 字 · 254 頁

青空文庫

「夜帰って来て、幾階もある階段を昇るのに、長い蝋マッチに火を附けて持ちます。それが消える頃には部屋の前に著きます」と聞いた弟は、細長い棒を持って来て、「これくらいですか」などと尋ねます。

「いいえ、そんなに長くはありません。箱をポケットに入れて、消えれば次のを擦ります。どこでも擦れば附きますから、五分マッチともいいます。」

そうした話を、何んでも珍しく聞くのでした。

祖母は夫が旅で終った遠い昔を忘れないので、「旅に出た人は、その顔を見るまでは安心が出来ませんよ」といわれます。母は、「そんな縁起でもないことを仰しゃって」と、嫌な顔をなさいますが、心の中では一層心配していられるのです。親戚西氏の近親の林氏は人に知られた方でしたが、洋行された留守宅で、商人を呼寄せて何か拡げさせて興じていた最中に、不幸の電報が届いたとのことで、その話には誰も心を打たれました。ですから、「慎んで待受けねば」という気持が強いのでした。

かねて父の往診用の人力車はあったのですが、兄の帰朝のためにとまた一台新調して、出入の車夫には新しい法被を作って与えました。帰朝の日には新橋まで迎いに出すという心組でした。