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おうがいぎょしとはだれぞ
鴎外漁史とは誰ぞ
線上閱讀森 鴎外《鴎外漁史とは誰ぞ(おうがいぎょしとはだれぞ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,099 字 · 12 頁
新聞紙の伝うる所に依れば、先ず博文館の太陽が中天に君臨して、樗牛が海内文学の柄を把って居る。文士の恒の言に、樗牛は我に問題を与うるものだと云って、嘖々乎として称して已まないらしい。樗牛また矜高自ら持して、我が説く所は美学上の創見なりなどと曰って居る。さてその前後左右に綺羅星の如くに居並んでいる人々は、遠目の事ゆえ善くは見えぬが、春陽堂の新小説の宙外、日就社の読売新聞の抱月などという際立った性格のある頭が、肱を張って控えて居るだけは明かに見える。此等は随分博文館の天下をも争いかねぬ面魂であるから、樗牛も油断することは出来まい。その外帝国文学という方面には、堂々たる東京帝国大学の威を借って、血気壮な若武者達が、その数幾千万ということを知らず、入り代り立ち代り、壇に登って伎を演じて居るようだ。これが即ち文壇だ。この文壇の人々と予とは、あるいは全く接触点を闕いでいる、あるいは些の触接点があるとしても、ただ行路の人が彼往き我来る間に、忽ち相顧みてまた忽ち相忘るるが如きに過ぎない。我は彼に求むる所がなく、彼もまた我に求むる所がない。縦いまた樗牛と予との如く、ある関係が有っても、それは言うに足らぬ事であって、今これを人に告ぐる必要を見ない。