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さとう

麻布襍記 ――附・自選荷風百句

永井 荷風

線上閱讀永井 荷風《麻布襍記 ――附・自選荷風百句(さとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 37,256 字 · 77 頁

青空文庫

仏蘭西の文豪アルフホンズドーデは純粋なる仏蘭西文を書かんと欲して力めて外国文学を窺う事を避けたりとかや。

余さる頃人に問わるるまま戯に小説作法なるものを草したる時小説家たらんとするものに向いて当世の新聞雑誌に掲げらるる文芸評論のたぐいを目にする事を戒めたり。之を目にすればいつとはなく野卑蕪雑の文辞に馴れ浅陋軽薄の気風に染むに至ればなり。文士の想を養い筆を磨くは当に慈母の児に於けるが如くなるべし。孟母三遷の教は人の知る処なり。優秀なる芸術の制作に従事せんと欲するものは文学雑誌を手にする勿れ。公設展覧会に入る莫れ。益田太郎冠者の喜劇を看るなかれ。

余松井須磨子を舞台に見たるは余丁町坪内博士邸内の劇場新築披露の折にして前後に唯一回のみ。雲右衛門は唯の一度も聞いた事なく吉田竹子も知らず曽我の家楽天会も亦幸にして見たる事なし。余は日本人の演ずる沙翁劇を観る事を欲せず亦日本語のオペラを聴く事を避けんとするものなり。

○

遊芸の師匠にして長唄手踊何でもござれでやらかすは五もくの御師匠さんとて人の卑しむ処なり。

むかし浄瑠璃の太夫は三味線を手にせず手にするを恥となしたり。