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おうごんのまくら

黄金の枕

田中 貢太郎

線上閱讀田中 貢太郎《黄金の枕(おうごんのまくら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,073 字 · 7 頁

青空文庫

女は人懐かしそうな顔をしていた。

「私は隴西の書生で辛道度という者ですが、金がなくなって食事に困っております、御主人にお願いして食事をさせていただきたいのですが、お願いしてくれませんか」

「あ、御飯を、では、ちょっと、待っていらっしゃい、願ってあげますから」

女は気軽く言って門の中へ入って往った。道度は石に腰を掛けて待っていた。

間もなくかの女が引返してきた。

「そうした方なら、今晩泊めてあげてもいいとおっしゃいますから、お入りなさい、ここの御主人は御婦人ですよ」

道度は礼を言いながらその後に従いて家の中へ入った。赤く塗った柱、緑色の壁などが彼にいい気もちを起さした。

「御主人は、こちらにおいでなさいます」

女は扉を開けた。道度はきまりが悪いのでもじもじしながら入った。

室の真中には、体のほっそりした綺麗に着飾った女が牀に腰を掛けていた。室の隅ずみには雲母の衝立がぎらぎら光っていた。道度は遠くの方からおじぎをした。

「この方が、今、お願いした、書生さんでございます」

女はこう言って主婦に紹介した。

「さあ、どうぞ、この家は私一人でございますから、御遠慮なさることはございません、そこへお掛けくださいまし、すぐ何か造えさしますから」