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おうごんひょう
黄金豹/妖人ゴング
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《黄金豹/妖人ゴング(おうごんひょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 153,404 字 · 307 頁
俊一君は勉強につかれて、広い庭の中をさんぽしていました。花崎検事のうちの庭は三千平方メートルもあって、森のような木立ちがあり、そのまん中に、小さな池まであるのです。俊一君は、いま、その池のふちを歩いているのでした。
約五十平方メートルほどの小さな池です。水が青くよどんで、池の底は見えません。そんなに深くはないけれど、どろ深い池でした。おとうさんは、俊一君たちの小さいときには、この池のそばへ行ってはいけないと、きびしくいいつけていました。ひじょうにどろ深いのではまったら、どろの中へ沈んでしまうからです。よくいう「底なし沼」なのです。
俊一君は、三年生ぐらいまでは、この池がこわくてしようがありませんでした。俊一君のうちのじいやが、「あの池には主がすんでいる。」といっておどかしたからです。ひとりで池のそばへいくと、目も鼻もない、のっぺらぼうの海ぼうずみたいなやつが、青くよどんだ水の中から、ヌーッと出てくるような気がしたのです。
しかし、俊一君は、一年ぐらいまえから、そんなことを、こわがらないようになっていました。俊一君は学校のよくできる、かしこい少年でしたから、もうおばけがいるなんて、ばかばかしいことを考えなくなったのです。