Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

Read あさひの鎧 (あさひのよろい) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 239,520 characters · 475 screens

Aozora Bunko

そうしてあの世でこの嬰児の親に、お詫びの言葉を云わせたい)

こんなことを考えていた。

また嬰児が泣き出した。

「おおよしよし、おおよしよし」

早瀬は嬰児をゆすりながら、谷を越えたあなたに幽かに見える、家の燈火を目あてとし、山の斜面を木立を分け、足の下に浅い谷を持ち、危険を犯して辿って行った。

で、彼女の立ち去った後の、猪小屋の中には人気もなく、ただ松明がパチパチと燃え、二つある窓のうちの一つの窓から、戸外の楓の木が枝を差し入れ、虫のために紅く色づいている葉を、いっそう紅く血のような色に、その焔は照らしていた。

でもすぐにこの猪小屋へ、気味の悪い訪問者があらわれた。

まず戸口から青竹の杖が、一本スッと突き出され、つづいて血飛沫の斑点をつけた裾と、土にまみれた足もとがはいって来た。

やがて全身をあらわした。

盲目の土岐頼春であった。

「嬰児の泣き声が聞こえたようだったが」

口の中で呟いた。

「でもここは無人らしい」

どうやら感覚でわかるようであった。

「暖たかい。……火があると見える」

松明の方へ寄って行った。

あやうく囲炉裡へ踏み込もうとした。

「あぶない」