Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

Read あさひの鎧 (あさひのよろい) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 239,520 characters · 475 screens

Aozora Bunko

生死卍巴

昼間杖で女を突き殺した。

それから感じられた女の肉体!

その女の肉体を、その瞬間頼春は感じた。

猪小屋の奥の部屋に佇んで、捨てて出た妻の早瀬のことなどを、それからそれへと思い出していた。

そこへ女の声が聞こえた。

水を求める女の声が。……

で頼春はほとんど夢中で、杖で女を気絶させ、この部屋へ引き入れたのである。

ここにも窓は二つあった。

谷の方へ向いた窓の口は、蒼い紗布を四角に切って、そこへ張ったように蒼白く見えた。

月夜の戸外に向いているからである。

その月夜の蒼白い光は部屋の中にも忍び込んでいた。

坐っている頼春の膝の上に、大輪の白い花が咲いていた。

浮藻のあおむいた顔であった。

その上の方一尺ばかりのところに、盲目の顔が浮いていた。

恍惚とした顔であった。

惨忍と淫虐とを現わした、醜い恍惚とした顔であった。

この時猪小屋の入り口へ、早瀬の姿があらわれた。

嬰児を抱き、顔に布をかけた、産女のような姿であった。

道で逢った娘が小次郎の名を、口ばしりながら小走って行った。

そのことがどうにも早瀬にとっては、心にかかってならなかった。

泣き出した嬰児はまた眠った。