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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
Read 任侠二刀流 (にんきょうにとうりゅう) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 224,569 characters · 451 screens
鍵穴から見えた女の姿
「有難い仕合わせ! お礼申します」
ヒラリと飛ぶと鷺組のお絹、地面に草に蔽われながら、横仆わっている鉄盤へ、双の腕をヒョイと掛けた。直径一間はあるだろう。大鉄盤が女の力で、持ち上がるべき理由がない。
「ナーニ、妾には解っているよ」お絹呟くと走り廻った。「うむ、これだよ!」と呟くと、数間離れた地面の一箇所、そこにニョッキリ突起している、赤錆びた槓杆を引っ掴んだ。グッと押すと予想した通り、大鉄盤が持ち上がり、その後へ円形の穴が出来た。
まず飛び込んだはお絹である。つづいて宗三郎が飛び込んだ。ズンズン進むと一つの部屋!
鍵穴から見えた女の姿
お絹と宗三郎間道を進んだ。と一つの部屋へ出た。ただしこの辺は真っ暗である。湿気がジメジメと肌へ透る。
「燈火をつけましょう、お待ち遊ばせ」こう云ったのは鷺組のお絹、懐中から何か出したらしい。カチカチと金具の音がした。と、燧石の音がした。ボ――ッと火光が部屋を照らした。忍び衆常用の龕燈提灯、折り畳み式になっている。それを組み立て点火したのだ。
龕燈を差し上げた鷺組のお絹、部屋の四方を照らして見た。四方の壁は岩である。天井もがんじょうの岩である。