Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Read 光は影を (ひかりはかげを) by 岸田 国士 (きしだくにお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 138,262 characters · 276 screens
陰でも、ほめてらつしやるんですつて……。でも、それで、あるひとに冷やかされちやつたわ」
「当り前さ、誰だつてそう思うよ。うちの多津なんぞ、すこしやき餅やいてるぞ」
と、彼は、ふと、この間、多津が口をすべらした、雲井秋生の少女趣味を思い出した。
「あら、そんなの変だわ、多津お姉さまは、れつきとした先生の愛人じやないの。それに、なんにもお書きになるつもり、ないしさ」
「書く書かないは別としてさ、雲井先生が、君なんかに特別の好意をもつてるとしたら、心穏かでないだろう。あんまりあいつをやきもきさせないように頼むよ」
「大丈夫よ、多津お姉さまは、雲井先生を完全にキャッチしてらつしやるわ。そりや見事よ、実にやんわりとですもの」
「おい、おい、君に、そんなことがわかるのかい? 驚いたね、やんわりと、か……」
京野等志は、ほんとに唖然として、溜息まじりにうそぶいた。
その晩は、真喜が神妙に膳ごしらえをしているかと思うと、多津は、夕食の時間に帰つて来なかつた。
「姉さんは、はつきり帰らないなら帰らないつて言つてけばいいのに、いつも、あいまいなことばかり言つてるから、きらいさ。