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うもんとりものちょう

右門捕物帖(二)

佐々木 味津三

Read 右門捕物帖(二) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 221,941 characters · 435 screens

Aozora Bunko

「思うに、あのおやじ、少し握り屋らしいな」

伝六にはその突然な述懐がよくわからなかったとみえて、ぼけぼけしながら、いぶかしそうにきき返しました。

「とおっしゃると、だんなは、あのおやじの握り屋らしいところに、なんかこの事件の糸口があるっておっしゃるんですかい」

「あたりめえよ。ひと口にいや、小欲が深すぎるんだよ。だから、あの軸物をもらったんで、もらうものならなんでもござれとばかり、ほくほくもので有頂天になっているすきを、ちょろりと雪舟に逃げられてしまったんだ」

「じゃ、やっぱり、あの鳶頭の金助とやらが怪しいとおっしゃるんですね」

「決まってらあ。あのおり、ほかにだれもあの座敷へ来たものがねえとすりゃ、雪舟の絵に足がはえてでも逃げ出さねえかぎり、金助よりほかに盗んだやつあねえじゃねえか」

「でも、先代からのお出入りで、評判の正直者だといったじゃござんせんか」

「だから、なおのこと、あのおやじ小欲が深すぎるにちげえねえっていうんだよ。相手が正直者だから安心しきって、もらいものに有頂天となっているすきを、ちょろりと細工されちまったんだ。また、鳶頭のほうからいや、日ごろ正直者として信用されているのをさいわい、そこをつけ込んで裏かいたのさ」