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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Read 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 195,601 characters · 387 screens
それとはだいぶ間を隔てていたけれど、同じ屋根の下に泊り合せた机竜之助。まして眼のつぶれて感の鋭くなった耳にその声が入らないはずはありません。
お徳から、あらましの事情を聞いた竜之助が、
「ああ、それは偽物だ」
と言いました。
「あの、お役人は偽物でございますか」
お徳は呆れる。
「よくある手で、近頃はどこへ行っても流行る、徳川の御用金だとか、勤王の旗揚げの軍備金だとか言って、ところの物持ちをゆするのだ、それがこの山奥までやって来ようとは思わなかった」
「では盗賊でござんすか」
「盗賊というわけでもない、なかには相当な志を持っているものが、心ならずもそんなことをして歩くのがある、結局は金で納まるのだ、白羽の矢を立てられたその望月とやらが気の毒」
「お金で済めば結構でござんすけれど、山方の人はそんなことに気がつかないで、お金などを出してはかえってお役人に失礼なんぞと遠慮をなさるかも知れませぬ」
「どのみち扱いが少し面倒だ。人はみんなで幾人ぐらい来ているな」
「お侍が二人に、お伴の衆が五六人、みんなで十人ばかり」
「それは少し大仕掛だ、ことによると望月の財産を振ってしまうようなことになるかも知れぬ」