Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 186,659 characters · 372 screens
それだけでも、お礼はこの方から申さねばならぬ」
「時に、今日筑前を、越水まで迎えに来た若者は? ……」
と、秀吉は、盃を取って、景勝のひきあわせを求めた。
「直江山城守兼続でしょう。山城、お盃を下さるとある。ごあいさつを」
と、景勝は、自慢の家臣らしく、末座をながめて、呼び出した。
「山城というか」
「お見知りおき下さいませ」
「きょうは、大儀であった」
「お盃、ありがとうぞんじまする」
直江山城は、盃を、秀吉の前に返して、もとの座へ、ひき退がった。
秀吉は、この一美丈夫の挙止を、始終、見ていた。
北陸へ来て、かれは多くの人間を見た。その中で、この直江山城守は、かれの印象にのこった一人であった。
また景勝が、自身、率直に自分の馬の口輪を取って迎えてくれたことも、うれしいことの一つだった。
(越後にはなお謙信の遺風がある。よく交わるべく、冒すべからず)
と、ひそかに思った。
雑談の末、
「謙信公のお跡目たる春日山の主に、馬の口輪を取っていただいたのは、おそらく筑前一人であろうが、途上の領民が、あれを見て、あなたを軽んじはしなかったか」
と、秀吉がいうと、景勝は笑って、