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うきぐも
浮雲
二葉亭 四迷
Read 浮雲 (うきぐも) by 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 112,980 characters · 222 screens
書生と言ッてもこれもまた一苦界。固より余所外のおぼッちゃま方とは違い、親から仕送りなどという洒落はないから、無駄遣いとては一銭もならず、また為ようとも思わずして、唯一心に、便のない一人の母親の心を安めねばならぬ、世話になった叔父へも報恩をせねばならぬ、と思う心より、寸陰を惜んでの刻苦勉強に学業の進みも著るしく、何時の試験にも一番と言ッて二番とは下らぬ程ゆえ、得難い書生と教員も感心する。サアそうなると傍が喧ましい。放蕩と懶惰とを経緯の糸にして織上たおぼッちゃま方が、不負魂の妬み嫉みからおむずかり遊ばすけれども、文三はそれ等の事には頓着せず、独りネビッチョ除け物と成ッて朝夕勉強三昧に歳月を消磨する内、遂に多年蛍雪の功が現われて一片の卒業証書を懐き、再び叔父の家を東道とするように成ッたからまず一安心と、それより手を替え品を替え種々にして仕官の口を探すが、さて探すとなると無いもので、心ならずも小半年ばかり燻ッている。その間始終叔母にいぶされる辛らさ苦しさ、初は叔母も自分ながらけぶそうな貌をして、やわやわ吹付けていたからまず宜ッたが、次第にいぶし方に念が入ッて来て、果は生松葉に蕃椒をくべるように成ッたから、そのけぶいことこの上なし。