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うきぐも
浮雲
二葉亭 四迷
Read 浮雲 (うきぐも) by 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 112,980 characters · 222 screens
第七回 団子坂の観菊 上
覚えが無いなら無いで好やアネ、何にもそんなに熱くならなくッたッて」
「だッて人をお疑りだものヲ」
暫らく談話が断絶れる、母親も娘も何か思案顔。
「母親さん、明後日は何を衣て行こうネ」
「何なりとも」
「エート、下着は何時ものアレにしてト、それから上着は何衣にしようかしら、やッぱり何時もの黄八丈にして置こうかしら……」
「もう一ツのお召縮緬の方にお為ヨ、彼方がお前にゃア似合うヨ」
「デモあれは品が悪いものヲ」
「品が悪いてッたッて」
「アアこんな時にア洋服が有ると好のだけれどもナ……」
「働き者を亭主に持ッて、洋服なとなんなと拵えて貰うのサ」
トいう母親の顔をお勢はジット目守めて不審顔。
第二編
第七回 団子坂の観菊 上
日曜日は近頃に無い天下晴れ、風も穏かで塵も起たず、暦を繰て見れば、旧暦で菊月初旬という十一月二日の事ゆえ、物観遊山には持て来いと云う日和。
園田一家の者は朝から観菊行の支度とりどり。晴衣の亘長を気にしてのお勢のじれこみがお政の肝癪と成て、廻りの髪結の来ようの遅いのがお鍋の落度となり、究竟は万古の茶瓶が生れも付かぬ欠口になるやら、架棚の擂鉢が独手に駈出すやら、ヤッサモッサ捏返している所へ生憎な来客、しかも名打の長尻で、アノ只今から団子坂へ参ろうと存じて、という言葉にまで力瘤を入れて見ても、まや薬