Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
Read 雑居家族 (ざっきょかぞく) by 壺井 栄 (つぼいさかえ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 140,106 characters · 283 screens
「へえ、なんとかできるの。甲斐性があるならやってよ。」
そこで兵六さんはまいまいつぶろのように自分にこもった。ここで女房をへこますのは造作もないが、あとがこわい。一時の満足で女房に恥などかかそうものなら、当分は晩めしの苦労を覚悟せねばならないからだ。彼は気弱さを誇張して、別のことをいった。
「昼めしは、おれひとりか?」
「そういう勘定になりますね。どうぞ甲斐性次第で、すしなとうなぎなと、一ぱいのみなと。だめならそばなとうどんなととって。」
そのくせ食卓は朝からにこみうどんだった。のびたうどんをもっそりとたべながら彼は考えていた。
――おせいや二三子が出ていったら、こうやくを買ってきて、くじいた足にはってやろう。ついでにうまーいうどん食ってこうかな。五百円、出さなくてよかった……
しかしこうやくも買いにゆかずに、その日いちにち兵六さんはねてくらした。古だんす一つで、そのたんすのうしろにちゃぶ台がしまってあるほか、家具らしいものの何もない六畳の部屋はひろびろとしている。部屋がりの肩身せまさなど、とっくの昔にどっかへ忘れてきてしまって、今はただ、目の前に口のやかましい妻や娘がいないというだけで、しんしょう持ちになったような気さえする。