Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ざっきょかぞく

雑居家族

壺井 栄

Read 雑居家族 (ざっきょかぞく) by 壺井 栄 (つぼいさかえ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 140,106 characters · 283 screens

Aozora Bunko

ともしび

しかしそんな中で、浜子が無事らしいのはもうけものだと思った。

月が上るらしく、空のはずれの方からあかるんできた。

ともしび

がちゃりん ごとんと独特な車のひびきを聞きつけると、浜子は部屋をとび出していって、兵六さんをむかえる。

「お帰りなさい、おじさん。暑かったでしょう。お豆腐、ひやしてあるわよ。」

こんな風だから、浜子がきて以来、兵六さんは一そう商売にはげみが出ていた。どんなにおそく帰ってきても、家にあかりがついていて、自分を待っている者があるということは、それだけで疲れの半分が洗い落される思いだった。大衆食堂のよごれた壁にむかって、ひとりどんぶり飯を食うわびしさも今はなくなり、いそいそとして帰ってくる兵六さんだ。出がけに浜子が、かんかんでりの空をながめて、

「おじさん、きょうも暑くなりそうよ。あんまり遠くへいきなさんな。木のかげかなんかへ車おいてさ、すずみすずみ、売れるだけ売ればいいじゃないの。からだこわしちゃあ、元も子もないわよ。」

まるで母親が子供にでもいって聞かすような調子だ。こんなことは兵六さんにとっては近ごろ珍らしい。だから兵六さんは、いたわられるといい気持になり、やっぱり出かける。