Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Read あさひの鎧 (あさひのよろい) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 239,520 characters · 475 screens
活躰解剖
「今夜は用心しなければいけない。変な者が入り込んだらしいぞ」
活躰解剖
「姥よ、何んだ、変なものとは?」
例によって金剛杖をつきそらせ、それへ体を縋らせながら、そう金地院範覚は云った。
「変なものとは変なものよ。それがハッキリわかるほどなら、変なものとは云いはしない」
姥の声は不機嫌そうであった。
櫓の部屋は広く頑丈で、正方形に出来ているらしく、床も天井も組細工で、壁には窓や狭間があって、格子がはまっているらしかった。
が、今は芯を細めた、一基の燭台の幽かな光が、わずかに四辺一間四方ぐらいを、明るめているばかりだったので、その光の輪の中にはいっている、範覚の姿と姥の姿と、姥の膝の前の床の上に、水を湛えて置いてある。白い陶器の円い水盤とが、ぼんやりと見えるばかりであった。
水盤の面は燈光を受けて、磨いた銅板のそれのような、気味の悪い光に輝いていた。
でも、そこには物の像など、何も映っていなかった。
で、範覚は首をのばし、水盤の面を凝視したが、
「わしには何も見えぬがのう」
と、云った。
「何が凡眼に見えるものかよ」
と、すぐに姥はセセラ笑うように云った。
「わしの眼にだけ見えるのじゃ」