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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Read あさひの鎧 (あさひのよろい) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 239,520 characters · 475 screens
「何のうっちゃっておけるものかよ」
「さて、そこでどうする気じゃ?」
「今度は、わしが先手をうつのさ」
「打ちな、姥、先手を打ちな! ……が、何んじゃい、打つ先手は?」
すると、姥は水盤の面を、依然として熱心に見詰めたまま、あるかなしかに残忍に笑った。
「漢権守様の行なわせられる、活躰解剖の今夜の犠牲に、さあ何物があてられるかのう」
範覚は、ゾッと身顫いをした。
「ああ今夜もあいつがあるのか」
「女を男に変えるのじゃ」
「苦痛に充ちたあの悲鳴! あれにはわしもおののくよ」
「男を女のように一変して、宦官といって宮廷などへ入れる。そういうことは唐土にあるそうじゃ……女を男のように変えてしまって、変態ごのみの富豪へ捧げる、そういうことだって唐土にはあるそうじゃ。……漢権守様のご先祖は、唐土のお方であられる筈じゃ……嬰児の眼をわざと潰し、瞽婢といって色を売らせる、そういうことも唐土にはあるげな。……顔の前へ白い布をかけた、姑獲鳥のような女が抱いている子も、漢権守様のお手によって、やがては瞽婢にされるであろうよ」
範覚は突いていた金剛杖で、思わず床を烈しく突いた。
「そんな話はやめてくれ! あんまり酷い! あんまり惨酷だ! ……俺もずいぶん殺生な男で、殺人など何んとも思っていないが、嬰児の眼を潰すほどの、そんな惨酷だけは出来そう