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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Read あさひの鎧 (あさひのよろい) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 239,520 characters · 475 screens
「六千貫も欲しいからのう」
これは弟の右源次の方で、――兄よりも徹底的に現実主義者だったので、こうズバリと云ったのである。
「そうともよ」
と、大弥太は応じた。
「さて、ああいう立て札を立てて、吉野十八郷の者どもに、御首級掻きをそそのかし、裏手からわれらがそれを駆り立てる。……今朝からそいつで走り廻っていたら、ひょっこりお主ら二人を見かけた。……そこで追っかけて来たのだが……これ兄弟考えたがよいぞ。……やろうと思えば、お主らこそ絶好! ……宮家現在はお主たちの館に、御足とどめておられるのだからのう」
「そうともよ」
と、また右源次が云った。
「俺はもう心を決めているのだが、兄者人が右顧左眄、家のことを思ったり、大逆になるのを恐れたりして……」
「お父上のお心を推し計るとのう」
と、やはり左源太は二の足ふむように、
「妹の心根を思いやってものう」
「では、最初から云い出さねばよいのじゃ」
と、弟の右源次は歯痒そうに云った。
「来る道々宮家に対し、討とうか討つまいか考えものじゃの、宮家方に附いては家が持たぬのと、云い出したのは兄者人じゃ」
「それもさ家のことを思えばこそじゃ」