Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

Read あさひの鎧 (あさひのよろい) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 239,520 characters · 475 screens

Aozora Bunko

「それそれ」

と、大弥太はけしかけるように云った。

「うかうか宮方などに附こうものなら、竹原の家は滅びるぞよ」

この時芒の原の小松の蔭から、竹の杖をついた乞食の姿が、音も立てずにあらわれた。

それは土岐頼春であった。

首を垂れ肩をちぢめ、竹原兄弟と大弥太との方へ、芒を分けて寄って行った。

盲目の眼の辺りが落ち窪んでいて、そこへ黒い隈が出来ていた。

盲目の乞食が近寄るとも知らず、大弥太は二人へそそのかすように云った。

「俺はな、親父の兵衛に反いた、そちたちも親父に反くがいい、由来老人というものは、古いものを好んだり、古いことに執着を持つものじゃ。そこで宮方などというのであるが、若いわれらはそうはいかぬ、現在の勢力に眼をつける。そこで俺は武家方よ! ……そこで宮家を、な、宮家を!」

この時頼春は大弥太の背後へ、すでに近々と迫っていた。

竹の杖が持ち直された。

が、不意に嬰児の泣き声が、小松の蔭からけたたましく聞こえた。

「や」

と、大弥太は振り返った。

「嬰児が泣いてる、あの嬰児の声は?」

瞬間に竹の杖が突出された。

「わッ」

しかし辛く外して、大弥太は横手へ飛び退いた。