Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

Read あさひの鎧 (あさひのよろい) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 239,520 characters · 475 screens

Aozora Bunko

朗らかな団欒

「は、はい」

「頼春をここへ呼び……」

「は、はい」

「彼の口より謀反のあらまし……」

「は、はい」

「云わせて密告させることじゃ!」

「は、はい」

「人やって即刻呼び寄せようぞ」

「は、はい」

と早瀬は手を合わせた。

「嬉しいか?」

「添うてさえ……」

「添うてさえおれれば嬉しいか」

無言で早瀬は頷いた。

「未練! ……が、女心だ!」

閉じた太郎左衛門の眼頭からも、涙がバラバラと膝に落ちた。

この夜小次郎は桂子の館の、奥の部屋で話していた。

朗らかな団欒

どこからまぎれこんだ馬追であろうか、燭台の裾を巡りながら、時々たちどまって鳴いたりした。

鳴く時青い羽根がこまかく顫えた。

桂子と浮藻と小次郎とが、その横でしめやかに話していた。

そうしてこの部屋の出入り口に近い、片寄ったところには大蔵ヶ谷右衛門が、大鉞を砥石へかけて、ゴシゴシと磨いでいた。

右衛門は桂子の股肱の臣で、桂子のためなら水火の中であろうと、笑って平然とはいって行くほどの、忠誠の心の持ち主であり、仁に近いほどの木訥漢であったが、剛勇無双膂力絶倫、二十貫の鉞を揮わせたら、面に立つ者はないほどであった。

それでいて他面諧謔漢で、見かけに似合わぬ多才児でもあり、この道場では桂子に代わって、泣き男だの幽霊女だのの、稽古をつけてさえいるのであった。