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さまようまちのさまよういえのさまようひとびと
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
国枝 史郎
Read さまよう町のさまよう家のさまよう人々 (さまようまちのさまよういえのさまようひとびと) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 37,916 characters · 75 screens
そして餞別の金高はその碼頭の匪徒の格式を計るバロメーターとなるのであるから各匪は挙って出来るだけ沢山進物をする。従ってこっちの収入も増すという訳だ。茲に一例を挙げて見ると、顧海雲という二流所の匪首が松江に行った時そこの匪首は顧の為め博奕を開き、そのテラ銭以外に百余元を送ったそうである。一寸行ってもそれ位だ。尤も各碼頭の匪からの贈金や待遇は、お客さんたる匪首の貫禄如何によって変る。以上の四事は架相に属する仕事である。
次に游民中の吃相に就て話すと、これ又四種に分ける事が出来る。その一の開門口というのは女で金儲けすることだ。よそから売りに来た女を買ってその中の上玉は長三とか幺二とか、即ち芸妓にするが、悪玉は淫売とする。女の代価は百数十元より高いのはなく、大抵百元が普通、悪いのになると二三十元という安いのもある。そして女に就て彼等が一番注意するのは、顔の外に、処女であるか否かである。もし其女が大蝋燭(バージンを通人仲間でこういう)であれば、どんな醜婦でも先ず五十元以上で売れ、洗礼後のものならば値は半減する。かくて売られた女が淫売を強いられ、闇い社会にうようよ生きている態は四馬路や師孝徳路あたりで見らるる通りである。