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さまようまちのさまよういえのさまようひとびと
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
国枝 史郎
Read さまよう町のさまよう家のさまよう人々 (さまようまちのさまよういえのさまようひとびと) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 37,916 characters · 75 screens
軟相と硬相
匪と言えば統一も規則もない無頼漢の寄り集まりであるのが普通であるが、青幇の内部がいかに秩序整然たるかは一寸右のような工合である。彼等が掠奪しに出かける時は、暗夜にこっそり指定の場所に集まり、そして帰る時も各自獲物を分け、三々五々、買物でもして帰るように見せかけて来るので滅多にそれと気づく者はいない。匪の隣に住んで居ても分らない位である。だから、どれが良民でどれが幇匪であるかは匪より外は知る者がない。只この十八段地方では例の土城が問題となり、而も中に大砲や鉄砲を収めてあることも分ったので、役人はこれに就き調査を始めた所、村人の答弁が振っている。曰く、自分達がこの土城を築かなかった以前は、盗匪が出没して大分掠奪を被ったものであるが、茲に砲銃を備えるようになってからそいつ等が一切寄りつかなくなった。そこで村は御覧の通り太平無事である云々。役人は成程と感心して帰り、討伐は全然無効に帰したという話がある。地方軍官が幇と通じて悪事を働くこと及び幇内のいかに統一のついて居るかはこれを見ても分る。
軟相と硬相
青幇中で一番多いのは游民である。一定の職業なくぶらぶらしている連中で、よく言えば浪人悪く言えば無頼漢、これが幇勢の中心をなしてると言ってもよい位である。