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さんにんのそうまだいさく

三人の相馬大作

直木 三十五

Read 三人の相馬大作 (さんにんのそうまだいさく) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 32,603 characters · 66 screens

Aozora Bunko

「何しろ、船の中へ、一人で斬込んで、川の中へ潜ってしもうたんだから――」

「大作って、いい男だってのう、色の白い、齢は――三十七八、背の高い――」

女狩が

「齢は三十じゃ。余りよい男では無い」

「おやっ、御存じですかい」

と、いった時、女狩は、側へおいてある刀へ手をかけて、じっと、往来をみた。広い土間に集っている人々は、煙草と、出がらしの茶とを楽しみながら、大声で、談笑していて、一人の侍についても、誰も、注意していなかった。

往来を行きすぎかけた四人の人が、人々のどよめき、笑い声に振向くと、その中の一人が、走って入ってきて

「吉」

と、叫んだ。

「おいの」

二人が、何か囁いていた。女狩は、刀をもって、そうと、土間へ降りた。

(大作にちがいない)

女狩が、出ようとすると

「これ、お武家、何処へ、行きなさる」

女狩が、振向いて

「ちと、外へ」

その男は、首を振って

「いいや」

「何故」

大作は、向う側の軒下に立っていたが、誰かが、声をかけたらしく、その方を見て、すぐ、行きすぎてしまった。女狩が外へ出ようとした。

「これ、駄目だ――おーい、吉」

男は、女狩の肩へ手を当てて

「強って行かしゃるなら、承知しねえ。