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アラスカのひょうが
中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河
中谷 宇吉郎
Read 中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河 (アラスカのひょうが) by 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 122,039 characters · 248 screens
石と水あめとの両様の性質があることを知らなくて、氷の力学的性質を論じても、奥歯にものがはさまったような感じの論文になるのは、当然のことである。
ところで、氷の単結晶を、われわれが必要とするのは、なにも北極の開発に役立つためだけではない。近年の物性論の研究は、非常に急激な進歩をとげている。トランジスターの発見なども、その一例であるが、その領域は、もっと広い範囲にわたっている。金属の物性の研究が、それである。
金属は、鉄でも、銅でも、アルミニウムでも、すべて結晶の集合からできている。その点は、氷と全く同様である。結晶の大きさおよび配列の仕方は、各標本ごとにまちまちである。その点も氷と同じことである。それで同じ鉄の塊りから切り出した二つの標本でも、厳密にいえば、ちがった資料である。それでふつうの金属を使ったのでは、本当の物理的な研究にはならない。やはりまず単結晶について実験をして、結晶方向との関係を調べないと、理論と比較検討することができない。
近年、金属の物性の研究が、急激に進歩したのは、金属の単結晶をつくることができるようになったからである。単結晶についての結果ならば、これを理論的に取り扱うこともできるが、勝手な方向をむいた大小さまざまの結晶の集合体では、理論の立てようがない。