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アラスカのひょうが
中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河
中谷 宇吉郎
Read 中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河 (アラスカのひょうが) by 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 122,039 characters · 248 screens
晴れた日は、樹間をとおる陽光が、羊歯の葉の上に輝き、ところどころに野生の蘭が鮮かな色の花をのぞかせている。生命に満ちた熱帯の密林風景である。しかしここでも凝結核の数はほとんど変らない。要するに人間さえいなければ、空気はきれいなのである。
人間界の影響が出てくるのは、普通、高度四千フィートくらいからである。それから下になると、急に凝結核の数が増し、平地に近づくにつれて、その増しかたが激しくなる。そしてヒロに通ずる海岸沿いのハイ・ウェイの近くへくると、それが数千、時には一万近い数になるのである。
こういう高度分布を、七回ばかり測っているうちに、いろいろなことがわかってきた。不連続線が、太平洋のこの水域のかなたに現れてくると、天気は崩れ始める。するとこの付近の気団が上昇し始めるので、凝結核が山頂近くまでずっと殖えてくる。途中に層雲があると、その中では、核の数がだいぶ多い。ところが雨や雪が降りだすと、とたんにこの凝結核の数は、非常に少なくなる。雨が降って大気が洗われると、普通によくいわれるが、まさにそのとおりである。山頂から平地近くまで、ずっと雨が降っていた時に測った一例では、頂上から三千フィートのところまで、百個内外の「最純」