Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
Read 光り合ういのち (ひかりあういのち) by 倉田 百三 (くらたひゃくぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 130,439 characters · 263 screens
あまりばか叮嚀にして田舎者と思われてもいけないと思って、もっともすべてにわたって自信がないので、出発する前に姉の夫である従兄に宛てて、
「田舎の、山出しの少年ですから、よろしく」
と手紙を出して置いた。
が尾道へ着くとまるで事情は滑稽だった。
伯父(母の実兄)、伯母(父の実妹)たちは私をまるで子供としてしか見ず、姉は挨拶などさせなかった。従兄はまたすぐ私の黒眼鏡をはずして見て、
「ふふん、安物だね」
と言って一笑に附した。そして「大きくなったのう」と私の顔をつくづく見るだけだった。
十七の少年の苦心は大人には問題にならなかった。
この家はやはり倉田姓を名乗り、屋号を山久と言った。宗藤とはまるで違って、陽気な派手な家風だった。商業を進取的にやっていた。種子姉は西洋店の看板娘と言われて、街中の評判の美人であった。この姉はおめかし屋で、小説や、芝居を好み、交際もいいくせに、少しも浮いたところがなかった。感情がふっくらとして、豊かな芍薬の花のようであった。
私は何の遠慮もなく、この家に一カ月程身を置くことが出来た。
十七から十八の秋までの、春期の催しの多感の日を私は思うさま尾道の港街でおくった。