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かちうんまけうん

勝ち運負け運

佐々木 邦

Read 勝ち運負け運 (かちうんまけうん) by 佐々木 邦 (ささきくに) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 119,262 characters · 243 screens

Aozora Bunko

「おや/\」

「ても恐ろしい眼力じゃよなあ。老子は生れながらに敏く、荘子は三つにして人相を知ると聞きしが、かく弥平兵衛宗清と見られた上は……」

「成程。それは明治座でやっている。この間見て来た」

「今漸く分ったのかい?」

と僕が勝ち誇った時、妻は流石に、

「オホヽヽヽ」

と笑って、僕の味方をしてくれた。

「お宅の御主人は声色がお上手でいらっしゃいますわね」

「いゝえ。横好きの方でございます」

「何う致しまして。堂に入っていらっしゃいます」

「お褒めになると、好い気になって困ります」

「矢っ張り小説をお書きになるくらいですから、御器用ね。拍子木さえ買ってお上げになれば、立派な街頭芸術家として御飯がいただけますわ」

と久子夫人はひどいことを言う。

「閑話休題に願いまして、斯ういう具合に、偉人は和漢洋ともに幼少の頃のことを忘れません。普通の人間とは違っています。栴檀は二葉より香しい。菊太郎君、さあ、どうだね?」

と僕はつづけた。

「異議なし」

「議論じゃない。何か覚えているかどうかと言うんだ」

「僕はビスマルクだ。偉人だけれど、度忘れをする癖がある」

「グイッと来たね」

「単刀直入さ。