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こせんのなぞ
古銭の謎
野村 胡堂
Read 古銭の謎 (こせんのなぞ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 12,885 characters · 26 screens
「少し調子は変ですけれども、あの方はどっか、不思議に人を動かすところがありますワ、私はあの方の言う事をきいて、兎も角やって見る方がいいような気がしてなりません」
「フーム」
「さあ、あと三分」
「この古銭をどうすればいいのだ」
「ピアノを退かした跡に、小さい金属板が壁に打ちつけてあるでしょう、その金属板の真ん中に、古銭の頭の輪になった部分が入るほどの、小さい溝があります、それへ古銭の頭をさしこんで、右へ二つ廻せばいいんですって」
「こうか」
「未だ、お父様、廻してはいけません、もう一分」
「大丈夫か」
「さあ」
父親はまだ不安相にして居りましたが、娘の決意に促されて、真鍮板の中の溝に、古銭の頭をさしこんで、一つ二つ廻すと、今まで壁とばかり思って居た、柱と柱の間の一尺五寸ほどの部分が、スーッと内の方へ開いて、そこへ真暗な道が、ポカリと口を開きました。
「お父様、参りましょう」
「これ陽子、待った」
「イエ、私は、こうしなければ、ならないような気がいたします、あの間抜な探偵が、今朝早く私を呼び出して、こうこうしろと言った時から、私はもう、すっかり決心して居るのです」
娘の決心に励まされて、父親もすぐその後に続きました。