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しおばらたすけいちだいき
塩原多助一代記
三遊亭 円朝
Read 塩原多助一代記 (しおばらたすけいちだいき) by 三遊亭 円朝 (さんゆうていえんちょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 138,733 characters · 274 screens
母様だ、そんでも怨みもしねえで母様を大事にする、あんな温順な人はねえと噂をして居りやんすよ、どうかマア軽躁の心を出さなければ好いと心配して居りやんすから、身体を大事にして時節を待つがようがんすよ」
多「はい、有難うがんす、伯母さん己ア母親は我儘ものでがんすが、私も亦遠慮なしに抗弁事をしやすから、そんで打ち敲かれやすのだから、強ち母親ばかり悪い訳ではがんせん、私が届かねえから小言を云われるので、どうか心配しておくんなさるな」
婆「その心根が別だよ、宜うがんす、はい、マア大事に」
多「伯父さんにも宜く云っておくんなさえよ、左様なら」
と圓次郎の家を出まして、我家の門まで来ると、生垣の榎木の所に青がにょきりと立って居りました故、
多「青どうした、汝独り此処に来て何だ、圓次はどうした、家へ帰ったか」
と云っても馬が挨拶は致しませんが、家来のような心持がすると見えます。是れから馬を引いて小屋に繋ぎ、自分は台所口の上総戸を明けながら、
多「はい、只今帰りました」
という声におかめは驚き、幽霊かと思い、声慄わしながら、
かめ「どうしたんだえ」
多「誠に遅くなりました、どういう事か宅の青が庚申塚辺まで来ると後へ退って、些とも動かねえで困っている