Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Read 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 264,133 characters · 524 screens

Aozora Bunko

橋を渡り終って松原へかかると、駕籠屋はまた不意に悸としました。

松林の中で焚火をしている者があります。焚火の炎が見えないほどに、幾人かの人が焚火の周囲に群がっていて、それが今まで一言も物を言わなかったというのは、まさしく人を待ち構えているものと見なさなければなりません。それですから駕籠屋は、ギョッとして立ち竦みました。

しかし、宇津木兵馬はそのことあるのを前から感づいて、

「構わず、ズンズン遣ってくれ」

と駕籠屋を促しました。

「おい、その駕籠、待ってくれ」

果して焚火の周囲から声がかかります。

「構わずやれ」

兵馬は小さな声で、またも駕籠屋を促しました。

「おい、待たねえか」

「何用じゃ」

「その駕籠の主は何の誰だか、名乗って通って貰いてえ」

「無礼千万、其方たちに名乗るべき筋はない」

「そっちで名乗るがいやならこっちから名乗って聞かせようか、その駕籠の中身は女であろう」

「女であろうと男であろうと、其方どもの知ったことではない。駕籠屋、早くやれ」

「おっと、おっと、ただは通さねえ、ほかでもねえが、その女をこっちへ温和しく返してもらわなければ、お前たちにちっと痛い目を見せるんだ。