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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Read 新・水滸伝 (しん・すいこでん) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 684,899 characters · 1374 screens
酒宴になる。いろんな作戦上の策が話題に出る。
鉄叫子の楽和は、頃あいをみて、
「余興に一つ」
と、得意の歌をうたい、さらにまた、求められて、諸葛孔明の“五丈原ノ賦”を指笛で吹いて聞かせた。
「これはうまい! 素人芸ではないぞ、おもしろい客人だ」
と、楽和はすっかり人気者にされ、やんや、やんやの喝采をあびた。
こんなことから、孫立一味の七人客も、また、朝奉夫人が住む大奥へ入りこんでいた孫の妻と※大虫おばさんの二人も、すっかり信愛をうけて、いつか城内ではなにへだてなく扱われていた。
するとまた、七日ほど後のこと。
「すわ! 梁山泊の賊軍が、前にもました勢いで、濠の彼方へ襲せかけて来ましたぞ」
と、郭門一帯にどよめきを見せ、朝奉以下の陣座へ、頻々と指令を仰いできた。
再三、敵将の宋江をとり逃がしているので、今度はと、祝氏の三傑は口をそろえて、
「騒ぐな、放ッとけ、しばらく、敵がなすままにして、出方を見ていろ」
と、号令した。
だが、放ッておいたら、たいへんである。城外の寄手は、火箭を撃ちこみ、堤をくずし濠を埋め、また巨木を伐って筏となし、どうなることかわからない。