Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 186,659 characters · 372 screens

Aozora Bunko

姉の子

姉の子

大垣の城では、甥の三好秀次も、迎えに出た。

秀次は、長久手の合戦にやぶれて後、秀吉の不興をうけて、

(勝入の遺族と共に、大垣の留守でもしておれ)

と、いいつけられ、ずっと、ここにいたのである。

「叔父の機嫌はなおっている」

久しぶり会った感じで、秀次は、胸をなでおろした。

すると、この秀吉の滞在中に、秀吉直属の部将、一柳市助が、ある時、かれの所を訪ねて、

「いや、御落胆なさいますな。失敗もしてみなければ、人生の嶮路はわかりません。失敗の反省こそ、その人間に重厚な味と深みを加えてゆくので、失敗は、天の恩寵だと思わねばなりません。まして、お若いのですから……」

などと、雑談によせて、かれの鬱情をなぐさめて、帰った。

その折、秀次から、頼まれたにちがいない。

一柳市助は、幾日かを措いて、秀吉のまえに出たとき、ふと、秀次の希望として、こういう願いを、云い出してみた。

「勝入どのの、遺臣のうちには、なお用うべき人物もたくさんいますが、中でも、池田監物と申す者を――秀次様には、何とか、御自身の家中へ、もらい受けたいものと、お望みにございまする。しかし、おゆるしなくてはと、実は、云い出しかねておられまするが……。