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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 200,903 characters · 400 screens
まこと横川の和尚から再三の申入れは、あなた様が当城に御逗留中と知って、ぜひ光秀様に、いちどお目通りさせて欲しいと、この光春を介して、切なる願いを申し入れて来たわけでござりました」
「亮信阿闍梨が、折り入って、この日向守に会いたいといっておるのか」
「それと、もう一通の嘆願書には、山門復興の勧進に、惟任日向守様の尊名をも、御拝借ねがいたいということでございました。……が、その二つとも、もちろんお肯き入れはかなわぬにきまっておる儀であると申して、私から固く断っておいた次第でございます」
「それ程、相成らぬ儀と、断っても断っても、なお再三再四、城門へ来て、命をかけてもと使いの僧までが申しおるとは……。不愍な心根ではある」
「…………」
「左馬介」
「はい」
「勧進の連名に、光秀が名をかしては、安土の君にたいして、畏れあるが、阿闍梨に会うてつかわすぐらいは、べつに憚ることもあるまいが」
「いや、御無用になされませ。山門焼打に一手の大将をお勤めになったあなた様が、何の必要あって今日、生き残りの法師とお会い遊ばす要がありましょう」
「その節は、敵であったが、いまの叡山は、まったく無力化して、安土に対しても降伏恭順を誓うておる良民ではないか」