Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 200,903 characters · 400 screens
夜ばなし
「博多の宗室でござりまする」
まず、頭を下げると、次の若い町人もそれに倣って、
「博多の宗湛にござりまする」
と、いった。
番士たちには、それだけでは分らない顔つきがあったが、奥の衛士小屋の前で番頭の侍が、どうぞ、どうぞ、と笑顔で通行を促していた。
夜ばなし
表御堂が建築の中心となっているが、人の中心は信長の座所にあった。本堂内陣横の橋廊下をこえ、さらに大廊下に従って、墨絵の間、金碧の間、何の間と、幾つも数えて行かなければ、彼の声は洩れ聞えて来ない。
その信長の声のする所、外にはせんかんと庭園の泉流がせせらぎ、向う側の幾坊の棟からは、折々、明るい女性たちの嬌笑が風に送られて来た。それはまた訪客たちの耳にもふと和やかな気やすさを与え、峻烈をもって鳴る主の一面に、べつな親しみを抱かせた。
「――そうか。……するとあすの朝はもはや住吉の浦から立つわけだな。老練な五郎左の佐けおることだ。諸事、安心いたしておると五郎左にも伝えおけ、信孝にもいえ。やがて中国で対面するであろう。信長も近日には下る」
信長のことばに、額を畳につけたまま、見上げも得ずにいる侍は、お座之間の次に姿を置いていた。