Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 200,903 characters · 400 screens
と空想したりして、自己の画策にふと恍惚となる寸間もあった。
この日、彼は午過ぎからわずかな従者を具して、城外へ出た。身装も軽装だし、常に左右におく重臣すら連れていない。けれど特に触れなくても、城門の将士にいたるまで、
「こよいは愛宕へ御参籠あるそうな」
と、その目的を弁えていた。
――中国出陣の前に、一夜を愛宕山に詣で、武運長久を祈り、かたがた、日頃の友を招いて、参籠の一夕を、連歌なといたして、大いに心養して参ろうと思う。
とは、きのう亀山へ来る途々からすでに、光秀の口からたびたび洩らされていたことばであった。
従って、このことは、
二十七日、亀山御着
二十八日、愛宕御参詣
二十九日、御帰城
というふうに、主人の予定行動として、家中一般へは、あらためて触れるまでもない儀と知れ渡っていたのである。
戦勝祈願の参詣といい、都から風雅の友を招いての連歌の催しといい、光秀の風懐と余裕を疑うものは誰とてない。日頃の光秀の人がらに照らしてみても、この際、
(お心ばえとして、さもありそうなこと)
としていた。
従者二十人ほどに、側臣五、六騎。鷹野に行くよりも身軽だった。