Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 187,757 characters · 375 screens

Aozora Bunko

と、顧みて命じた。

「みな遠くへ退いておれ」

小姓たちは鏡や鬢盥を捧げて去った。近侍も退いた。山上の芝地は相対す佐久間兄弟のみとなった。いやもう一人いる。安政の伴って来た水野新六である。新六は身分柄、遠くにあって平伏したままだった。

玄蕃も今、気づいて、

「新六が戻ったか」

「首尾よう戻りました。御用も上々に足りたようで」

「御苦労御苦労。して山路将監の返答は」

「新六が託されて参った将監の書状です。――まず御披見を」

「お。……これをな」

玄蕃允は手に取るとすぐ開封した。蔽い得ない喜悦が眼にも溢れ唇元にも漂い出した。いかなる秘事の成功をこう歓ぶのか。彼はじっとしていられないように肩を揺すぶった。

「新六。もっと近う寄れ。そこでは遠い――」

「はっ」

「将監の書中によれば、なお詳しくは使いの者に仔細申し授け置く――と相見ゆるが、将監からの伝言、余すところなくそれにて申せ」

「口上をもって、山路殿がお伝えには、何分、自分と大金藤八郎の両名は、もともと、長浜の臣、長浜のああなる前より勝豊様とは意見を異にしおる者とのことを、秀吉始め麾下の諸将も存じおるゆえにや、われらに、堂木山と神明山の二塁を預けて、それが守備に立たせながらも、いっこう油断なく、べつに秀吉の腹心木村隼人佑を監視に付け、滅多に、動きもとれぬ始末と申されておられまし