Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 187,757 characters · 375 screens

Aozora Bunko

――頼むぞ。一刻も争うぞ、早く行け」

と、いいつけた。

そして云いも終らぬまに、将監は具足を取って身を鎧い、大槍を横ざまに持って、小屋の外へ躍り出た。

大金藤八郎と木下半右衛門のふたりは、早くも部下をまとめて麓へ立ち退いていた。

その頃、夜はまったく白み、本山の木村隼人佑の令による手配も開始されて、全山は、

「裏切り者をやるな」

「神明砦の寝返りぞ」

「同士打ちすな。謀反人は、旧柴田勝豊の家中のみなるぞ」

と、呼ばわり、駈け合う声々に谺した。

大金、木下の二群は、麓まで行く間に、大崎宇右衛門の手勢に待ち伏せられて寸断され、残る者どもと、池ノ原の大松の下で山路将監の来るのを待ち合わせていると、堂木山の北方を迂廻して来た木村隼人佑の旌旗が、早くも行くての道を遮断して包囲して来たので、再び散々に潰乱してしまった。

――山路将監もまた、ひと足おくれて、部下一団と共にこれへ駈け降りて来た。

鹿角の前立ち打った兜に、黒革のよろいを着、大槍を手ばさんで、馬上に風を切らせて来た武者振りは、さすがに勝豊の麾下中第一の剛の者と見えたが、いかなる大勇も、すでに武門の大道を踏み過っては、その馬蹄に、正義堂々たる威風はない。