Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 187,757 characters · 375 screens
そして、なお素行の同書には、
――秀吉の是を奪ふに非ず。信雄、信孝の之を与ふる也。
と、この問題に結論を下している。
おおむね、衆評もこの結論には、異論ないもののようであるが、中国から山崎戦へかけての頃は、まだ天下に望みなかったという一事だけは、果たしてどうであろうか。
ともかく、信雄といい、信孝といい、この兄弟の凡庸だけは争えない。もし、兄弟心をひとつにするとか、或いは、どっちか一人でも英武にして時潮を知る眼を具えていたら、決してこんな破局は見なかったであろう。
信雄のお人よしな庸劣さにくらべれば、信孝はなお聊かは骨があった。才略なき鼻ッぱしには過ぎなかったが、尾張の野間まで逃げのびて、そこの一寺で腹を切った最期のもようも、さすがに、
(こうなること――)
と、覚悟していた様子で、めめしくはなかった。
かつて、野間の安養院には、寺蔵の墨梅の古画一幅があり、織田信孝が自刃の時、室の床に掛けられていたものといわれていた。血痕の刎ねが見えて、往時を偲ばせ、見るも哀れな一幅であるとて、後に、狩野衲永がそれに一詩を題したという。
夜窓如夢到西湖
月下見花思老逋