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かくだいされゆくこくどうぜんせん

日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)

広海 大治

Read 日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二) (かくだいされゆくこくどうぜんせん) by 広海 大治 (ひろうみだいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 4,128 characters · 10 screens

Aozora Bunko

拡大されゆく国道前線

(1)

(2)

(3)

(1)

視野一面 連る山脈の彼方に

朝やけの赤い太陽――

ペダルを力一杯 地下足袋で踏んづけて

工事場へ走る俺達

爽涼たる朝霧の中に

曲りくねった山峡の白い路

杉と雑木と 山の背の彼方に

見えては かくれ かくれては現われる相棒の姿

俺は呼びかける

――おうい待てよう

――ほーい

山萩の垂れ下った曲路の向う側に

あいつの自転車は消えて

ベルの音とこだまだけが深い谷間に残る

――早う来んと歩が切れるぞう

(2)

石工は玄翁を打振り

坑夫は断崖で たった一本のロップに身を任し 岩盤に千草を打込む

汗を流してコンクリートを切る奴

愚鈍なたくましい男等は栗石を運搬し

女達は鼻をふくらし頬を青白めて土をかく

朝から晩まで三六石かきの

俺の人夫賃は七十三銭

一時間六銭で買われ俺等

そっとシャツの破れで鼻をこすって

俺達の汗と膏を食って出来下った切取の山肌をにらみつける

(3)

ピカピカ光る大型のバッカード

砂塵を巻いて俺達の飯に馬糞をかぶせる

県庁と鉄道省の高官の視察だ

昭和×年×月×日限り カッチリ××線国道拡張工事は完成しなければならぬ

たった半日も遅れることなく 鉄道省営バスは巨大な車体の運転を開始しなければならぬ