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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

Read 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 196,831 characters · 396 screens

Aozora Bunko

それがなかなかの役に立って、ようだと睨んだことが不思議にあたった例がしばしばあるので……。そうです、わたしが家に坐って、眼をつぶって、腕を拱んで、どうもそうらしいようだと考えていた事が、まず大抵は壷に嵌りましたからね。あなたの鑑定通り、その女は呉服屋の女房のお大でした」

「お大は家出をして、府中へ行ったんですか」

「そうです。わたくしは最初から和泉屋の手代の幾次郎という奴を、なんだか怪しいと睨んでいたのですが、やっぱりこいつが曲者でした。前にも申す通り、おやじの勇蔵が主人の罪をかぶって牢死した。その忠義に免じて、和泉屋でも眼をかけて使っていた。和泉屋には子がないので、行くゆくは養子にしてくれるかと内々楽しみにしていると、主人の親類から清七という養子が来てしまったので、幾次郎は的がはずれた。それが、そもそもの始まりで、自棄も手伝って道楽をする。それでも主人が大目に見ているので、だんだんに増長して和泉屋乗っ取りを企てる事になりました。その場合、あなたならどうします」

「さあ、まず養子の清七を遠ざけるんですね」

「だれの考えも同じことで、まあそうするのほかはありません。